【簡単エクセル/Excel VBA マクロ】セルの書式設定|列幅、行高|セルの基本操作 #007



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本稿ではセルの基本操作のうちセルの書式設定の #002 として「列幅、行高」を解説いたします。
なお、セルの初期設定の姉妹記事はこちらに掲載しております。もしよろしければご覧ください。
姉妹記事
VBAにおける「セルの基本操作」の全体像
マクロを作成するにあたり、セルの操作は何かと必要になります。セルの基本操作の全体像は以下の記事で解説しております。
本稿では、セルの基本操作の一部である「列幅、行高」を解説いたします。
VBAで「書式設定」を行う方法 #002

セルの書式設定 #002 では、以下の設定方法を解説いたします。
- 列幅
- 行高
以下のセクションでそれぞれの項目について解説していきます。
尚、セルの結合・解除につきましては、こちらの記事で解説しています。もしよろしければご覧ください。
列幅
セル内のコンテンツが列幅からはみ出したり、反対に余白が大きすぎると、視覚的に分かりづらい資料になりがちです。資料を読みやすく整えるためには、列幅の適切な調整が重要です。特に、ビジネス文書や学生の提出資料などでは、きちんと整えておきたいところです。
VBAでセルの列幅を調整する方法には、以下の2つがあります。
- 列幅を数値で指定する
- 列幅をセルのコンテンツに合わせて調整する
それぞれ解説していきます。
列幅を数値で指定する
例として、以下のようなデータが格納されているシートの列幅を調整したいと思います。
このデータは、気象庁のウェブサイトからダウンロードした気象データです。(出典:気象庁、URL: https://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php)

4行目を見ると分かりますが、セルの表示内容が途中で切れています。"平均気温"の横の"("までは見えますが、明らかに何かの文字が続いているのが分かります。
このセルの内容が見切れないように列幅を調整してみましょう。
まず、単一の列の幅を調整するコードを以下に示します。
Sub Sample()
' C列 = Columns(3) の列幅を 15 に設定する
ThisWorkbook.Worksheets("Sheet1").Columns(3).ColumnWidth = 15
End Sub


このコードでは、C列 = Columns(3) の列幅を 15 に設定しています。マクロ実行結果を見ると、セルのコンテンツが見切れずに表示されるようになったことが分かります。
このコードでは、C列の列幅のみが調整されます。しかし、D列以降も表示が見切れていることが分かりますので、C列以降のデータが格納されているすべての列を調整してみましょう。
Sub Sample2()
' 変数宣言
Dim twb As Workbook ' This Workbook
Dim twb_ws1 As Worksheet ' Worksheet
Dim last_col As Long ' Last Column ; 最終列の番号
' ワークブックを開くと同時に、ワークブックとワークシートを変数として取得
Set twb = ThisWorkbook
Set twb_ws1 = twb.Worksheets(1)
' 最終列をしらべて変数 last_col に格納
last_col = twb_ws1.Cells(4, Columns.Count).End(xlToLeft).Column
' C列から最終列までの列幅を 15 に設定する
Range(twb_ws1.Columns(3), twb_ws1.Columns(last_col)).ColumnWidth = 15
End Sub


解説していきます。
' 変数宣言
Dim twb As Workbook ' This Workbook
Dim twb_ws1 As Worksheet ' Worksheet
Dim last_col As Long ' Last Column ; 最終列の番号
この冒頭の部分は変数の宣言です。Dim 変数 As データ型 の構文で宣言します。
これによって各変数は As 以降で指定したデータ型のデータを格納することができるようになります。
なお、"Workbook"はワークブック、"Worksheet"はワークシート、"Long"は整数を格納するためのデータ型を意味しています。
' ワークブックを開くと同時に、ワークブックとワークシートを変数として取得
Set twb = ThisWorkbook
Set twb_ws1 = twb.Worksheets(1)
次に、ワークブックを開くと同時に、オブジェクト変数として取得しています。合わせてワークシートもオブジェクト変数として取得しています。
twb.Workbooks(1)
のカッコ内の数値 1 は、ワークブック内の1番目のワークシート、つまり左端のワークシートを意味しています。
' 最終列をしらべて変数 last_col に格納
last_col = twb_ws1.Cells(4, Columns.Count).End(xlToLeft).Column
ここではシート内のデータが格納されているセルの最終列、つまり一番右端にある列を取得しています。列幅を調整するデータエリアを指定するために、最終列を取得しておく必要があります。
twb_ws1.Cells(4, Columns.Count)
のカッコ内右側の Columns.Count
は、ワークシートにある列の総数、つまり一番右端の列の番号を表します。
End(xlToLeft)
は、指定されたセルから左方向(to left)に移動するメソッドです。空白でないセルに到達するまで移動します。
End(xlToLeft)
に続く .Column
は列番号を返すプロパティです。
' C列から最終列までの列幅を 15 に設定する
Range(twb_ws1.Columns(3), twb_ws1.Columns(last_col)).ColumnWidth = 15
Range プロパティで C列=Columns(3)
から最終列までを対象エリアとして指定し、ColumnWidth
プロパティに 15 を指定することによって列幅を 15 にしています。
以上が、C列=Columns(3)
から最終列=Columns(last_col)
までの列幅を 15 に設定する方法です。
列幅をセルのコンテンツに合わせて調整する
次に、列幅をセルのコンテンツに合わせて自動調整する方法を解説します。
例として扱うファイルは、上述の列幅のセクションと同じく、気象庁のウェブサイトからダウンロードした気象データとします。
まず単一の列の幅を自動調整するコードを以下に示します。
Sub sample3()
' C列 = Columns(3) の列幅を自動調整する
ThisWorkbook.Worksheets("Sheet1").Columns(3).AutoFit
End Sub


列幅を数値で指定する方法では、 ColumnWidth
プロパティに数値を指定していましたが、列幅を自動調整する方法では AutoFit メソッドを用いて列幅を調整しています。
AutoFit メソッドは、指定した Range オブジェクトや Columns オブジェクト の内容に合わせて列幅を自動調整してくれます。
次に、C列以降のデータが格納されているすべての列の幅を調整してみましょう。
Sub Sample4()
' 変数宣言
Dim twb As Workbook ' This Workbook
Dim twb_ws1 As Worksheet ' Worksheet
Dim last_col As Long ' Last Column ; 最終列の番号
' ワークブックを開くと同時に、ワークブックとワークシートを変数として取得
Set twb = ThisWorkbook
Set twb_ws1 = twb.Worksheets(1)
' 最終列をしらべて変数 last_col に格納
last_col = twb_ws1.Cells(4, Columns.Count).End(xlToLeft).Column
' C列から最終列までの列幅を自動調整する
Range(twb_ws1.Columns(3), twb_ws1.Columns(last_col)).AutoFit
End Sub


上述の列幅を数値で指定する方法の場合とほぼ同じですが、以下の部分のみ変更しています。
' C列から最終列までの列幅を自動調整する
Range(twb_ws1.Columns(3), twb_ws1.Columns(last_col)).AutoFit
C列=Columns(3)
から最終列=Columns(last_col)
までを表すRangeオブジェクトに対して Autofit
メソッドを適用し、列幅を自動調整しています。
以上が、C列=Columns(3)
から最終列=Columns(last_col)
までの列幅を自動調整する方法です。
すべての列の幅を調整する
単一の列や指定した範囲の列の幅を調整する方法は上述の通りです。
もしシート内のすべての列の幅を調整したい場合には、以下のように記述します。
' すべての列の幅を 15 に設定する
ThisWorkbook.Worksheets("Sheet1").Columns.ColumnWidth = 15


' すべての列の幅を自動調整する
ThisWorkbook.Worksheets("Sheet1").Columns.AutoFit


このように Columns をオブジェクトに指定して、ColumnWidth または AutoFit で列幅を指定します。
行高
行高の調整も、列幅と同様に以下の2つの方法があります。
- 行高を数値で指定する
- 行高をセルのコンテンツに合わせて調整する
それぞれ解説していきます。
A. 行高を数値で指定する
列幅の場合と同じく、例として扱うファイルは以下の気象庁からダウンロードした気象データとします。

まず単一の行の高さを数値で指定するコードを以下に示します。
Sub Sample5()
' 6行目の行高を 50 に設定する
ThisWorkbook.Worksheets("Sheet1").Rows(6).RowHeight = 50
End Sub


このコードでは、6行目 = Rows(6) の高さを 50 に設定しています。マクロ実行結果を見ると、他の行よりも行の高さが高くなっていることが分かります。
次に、6行目以降のデータが格納されているすべての行の高さを調整してみましょう。
Sub Sample6()
' 変数宣言
Dim twb As Workbook ' This Workbook
Dim twb_ws1 As Worksheet ' Worksheet
Dim last_row As Long ' Last Row ; 最終行の番号
' ワークブックを開くと同時に、ワークブックとワークシートを変数として取得
Set twb = ThisWorkbook
Set twb_ws1 = twb.Worksheets(1)
' 最終行をしらべて変数 last_row に格納
last_row = twb_ws1.Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
' C列から最終列までの列幅を自動調整する
Range(twb_ws1.Rows(6), twb_ws1.Rows(last_row)).RowHeight = 50
End Sub


解説していきます。
' 変数宣言
Dim twb As Workbook ' This Workbook
Dim twb_ws1 As Worksheet ' Worksheet
Dim last_row As Long ' Last Row ; 最終行の番号
この冒頭の部分は変数の宣言です。Dim 変数 As データ型 の構文で宣言します。
これによって各変数は As 以降で指定したデータ型のデータを格納することができるようになります。
尚、"Workbook"はワークブック、"Worksheet"はワークシート、"Long"は整数を格納するためのデータ型を意味しています。
' ワークブックを開くと同時に、ワークブックとワークシートを変数として取得
Set twb = ThisWorkbook
Set twb_ws1 = twb.Worksheets(1)
次に、ワークブックを開くと同時に、オブジェクト変数として取得します。合わせてワークシートもオブジェクト変数として取得します。
twb.Workbooks(1) のカッコ内の数値 1 は、ワークブック内の1番目のワークシート、つまり左端のワークシートを意味しています。
' 最終行をしらべて変数 last_row に格納
last_row = twb_ws1.Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
ここではシート内のデータが格納されているセルの最終行、つまり一番下にある行を取得しています。行高を調整するデータエリアを指定するために、最終行を取得しておく必要があります。
last_row = twb_ws1.Cells(Rows.Count, 1)
のカッコ内左側の Rows.Count
は、ワークシートにある行の総数、つまり一番下の行の番号を表します。
End(xlUp)
は、指定されたセルから上方向(up)に移動するメソッドです。空白でないセルに到達するまで移動します。
End(xlUp)
に続く .Row
は行番号を返すプロパティです。
' 6行目から最終行までの行高を 50 に設定する
Range(twb_ws1.Rows(6), twb_ws1.Rows(last_row)).RowHeight = 50
Range プロパティで6行目から最終行までを対象エリアとして指定し、RowHeight プロパティに 50 を指定することによって行高を 50 にしています。
以上が、6行目から最終行までの行高を 50 に設定する方法です。
B. 行高をセルのコンテンツに合わせて調整する
次に、行高をセルのコンテンツに合わせて自動調整する方法を解説いたします。
まず単一の行の高さを自動調整するコードを以下に示します。
Sub Sample7()
' 6行目の行高を自動調整する
ThisWorkbook.Worksheets("Sheet1").Rows(6).AutoFit
End Sub


行高を数値で指定する方法では Rowheight プロパティに数値を指定していましたが、行高を自動調整する方法では AutoFit メソッドを用いて行高を調整します。
AutoFit メソッドは、指定した Range オブジェクトや Rows オブジェクトの内容に合わせて行高を自動調整してくれます。
次に、6行目以降のデータ格納されているすべての行の高さを調整してみましょう。
Sub Sample8()
' 変数宣言
Dim twb As Workbook ' This Workbook
Dim twb_ws1 As Worksheet ' Worksheet
Dim last_row As Long ' Last Row ; 最終行の番号
' ワークブックを開くと同時に、ワークブックとワークシートを変数として取得
Set twb = ThisWorkbook
Set twb_ws1 = twb.Worksheets(1)
' 最終行をしらべて変数 last_row に格納
last_row = twb_ws1.Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
' 6行目から最終行までの行高を自動調整する
Range(twb_ws1.Rows(6), twb_ws1.Rows(last_row)).AutoFit
End Sub


行高を数値で指定する方法とほぼ同じですが、最後の以下の部分のみ変更しています。
' 6行目から最終行までの行高を自動調整する
Range(twb_ws1.Rows(6), twb_ws1.Rows(last_row)).AutoFit
6行目から最終行=Rows(last_row)までを表す Range オブェクトに対して Auto Fit メソッドを適用し、行高を調整しています。
以上が、6行目から最終行=Rows(last_row)までの行高を調整する方法です。
すべての行高を調整する場合
単一の行や指定した範囲の行の高さを調整する方法は上述の通りです。
もしシート内のすべての行の高さを調整したい場合には、以下のように記述します。
' すべての行の高さを 50 に設定する
ThisWorkbook.Worksheets("Sheet1").Rows.ColumnWidth = 50


' すべての行に高さを自動調整する
ThisWorkbook.Worksheets("Sheet1").Rows.AutoFit


このように Rows をオブジェクトに指定して、RowHeight または AutoFit で行高を指定します。

ご覧いただきありがとうございました!
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おわりに


ご覧いただきありがとうございました!
今回の記事では、セルの基本操作のうち「セルの書式設定|列幅、行高」を解説いたしました。
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なお、当サイトでは様々な情報を発信しております。もしよろしければ、トップページもご覧いただけると幸いでございます。
この記事を書いた人
- ■人生を追求する凡人■日本一安全で、気の向くままに自分の時間を過ごせる、こだわりのキャンプ場を作るのが夢■光学・機械系エンジニア(歴20年、内マネジメント10年、特許数件権利化)/副業フリーランスエンジニア■読書・文学愛好■人生は時間そのもの。ひとりでも多くの人が「より良い人生にするために時間を使って欲しい」と願い、仕事のスキルの向上、余暇の充実、資産形成を研究。■VBAアプリ開発サービス提供中(業務委託 / VBA使用経験20年)■Python愛好(歴5年)■VBAエキスパート「Excel VBA スタンダード」(上級者向け資格)/ Python 3 エンジニア認定基礎(経済産業省「ITスキル標準(ITSS)」に掲載)