【簡単Excelマクロ・VBA】For…Each ループ|繰り返し処理 #004
いつもありがとうございます。
ノンプログラマー向け「Excelマクロ・VBA解説シリーズ」へようこそ。
VBAで行いたい処理の代表格に「繰り返し処理」があります。
本稿では、「繰り返し処理」の方法のひとつである「For...Each ループ」を、とても簡単な例を用いて解説いたします。
「For Each ループ」は、コレクションや配列の各要素に対して繰り返し処理を実行するステートメントです。
「For Each ループ」は、「For...Next ループ」、「Do...While ループ」、「Do...Until ループ」と違い、コレクションや配列の各要素に対して繰り返し処理を行うという点においてユニークなステートメントです。
尚、本稿も含めた繰り返し処理の姉妹記事を以下の通り準備しておりますので、もしよろしければ合わせてご覧ください。
姉妹記事
ことばの意味
- ノンプログラマー
プログラミングを主な仕事にしていない人たちのことです。 - マクロ
VBAを使って作成される「機能」のことです。 - VBA
Visusal Basic for Application の略で、プログラミング言語のことです。 - ステートメント
VBAの中で何らかの固有の働きをするものを定義したものの呼称です。VBAには、Ifステートメント、For...Next ステートメント、Withステートメント、Sub ステートメントなど、様々なステートメントがあります。例えば、Subステートメントは、コードの始まりを定義するステートメントです。 - コレクション
オブジェクトの集合のことです。 - 配列
複数のデータを格納するための入れ物のことです。
関連記事
VBAにおける繰り返し処理の全体像
VBAにおける「繰り返し処理」には、大きく分けて4つの方法があります。「繰り返し処理の」の全体像は以下の記事で解説しております。
本稿では「繰り返し処理の」一部である「For...Each ループ」を解説いたします。
VBAで「For...Each ループ」を行う方法
For...Each ループの基本構文を以下に示します。
For Each 要素 in コレクション(または配列)
'ここに繰り返す処理を書く
Loop
この構文では、コレクション(または配列)の各要素に対して、繰り返し処理を実行します。
例として、ワークブック内にあるすべてのシートの名称を "Sheet1"に書き込むコードを以下に示します。
ワークブック内には、下図のように3つのシートがあることにします。
Sub sample()
' 変数の宣言
Dim wb As Workbook
Dim ws As Worksheet
Dim ws1 As Worksheet
Dim row_idx As Long ' 行番号変数
' ワークブックを"Sheet1"をオブジェクト変数として取得
Set wb = ThisWorkbook
Set ws1 = wb.Worksheets(1)
' 行番号変数に初期値を設定
row_idx = 1
' ワークブック内のすべてのシート名を取得して"Sheet1"に書き込む
For Each ws In wb.Worksheets
' "Sheet1"にシート名を書き込む
ws1.Cells(row_idx, 1) = ws.Name
' row_idx (行番号変数)にプラス1
row_idx = row_idx + 1
Next ws
End Sub
解説します。
変数の宣言
Sub sample()
' 変数の宣言
Dim wb As Workbook
Dim ws As Worksheet
Dim ws1 As Worksheet
Dim row_idx As Long ' 行番号変数
冒頭の部分は変数を宣言しています。
Dim 変数 As データ型 の構文で宣言します。これによって各変数は As 以降で指定したデータ型のデータを格納することができるようになります。
尚、"Workbook"はワークブック、"Worksheet"はワークシート、"Long"は整数を格納するためのデータ型を意味しています。
ことばの意味
- 変数
「値」や「オブジェクト」を入れておく箱のようなものです。変数はその名の通りコード内での指示によって値やオブジェクトを変えることができます。 - オブジェクト
VBAで操作する対象のことです。 - Long
-2,147,483,648から2,147,483,647までの範囲の整数値を格納することができる。尚、整数を扱うデータ型には Integer もあるが、これは-32,768から32,767までと、Long よりも扱える数が小さい。
ワークブックとワークシートをオブジェクト変数として取得
' ワークブックを"Sheet1"をオブジェクト変数として取得
Set wb = ThisWorkbook
Set ws1 = wb.Worksheets(1)
次に、ワークブックとワークシートを、オブジェクト変数として格納しています。
wb.Worksheets(1)のカッコ内の数値1は、ワークブック内の1番目のワークシート、つまり左端のワークシートを意味しています。
ことばの意味
- オブジェクト変数
「オブジェクト」を入れておく箱のようなものです。通常の変数が数値や文字列などを格納するのに対して、オブジェクト変数はオブジェクトを格納します。
For...Each ループを用いた繰り返し処理
' 行番号変数に初期値を設定
row_idx = 1
' ワークブック内のすべてのシート名を取得して"Sheet1"に書き込む
For Each ws In wb.Worksheets
' "Sheet1"にシート名を書き込む
ws1.Cells(row_idx, 1) = ws.Name
' row_idx (行番号変数)にプラス1
row_idx = row_idx + 1
Next ws
次に、繰り返し処理を実行しています。
まず、row_idx = 1
で、行番号変数 row_idx に初期値を設定します。
次に、ループを開始するコード For Each ws In wb.Worksheets
を記述します。これは、Worksheets コレクションのすべてのワークシートについて同じ処理を繰り返しなさい、という命令です。
これで、For... と Next ws の間にある行の処理が繰り返し実行されます。この例では、"Sheet1"にシート名を書き込み、その後、行番号変数 row_idx にプラス1をしています。
この row_idx = row_idx + 1 がないと書き込む行が次の行に進まず、繰り返し処理の間中ずっと同じセルに値が上書きされてしまいます。注意してください。
以上が、For...Eachループの基本的な使い方です。
おわりに
ご覧いただきありがとうございました。
今回の記事では、「繰り返し処理」の中の「For…Each ループ」を解説いたしました。
お問い合わせやご要望等ございましたら、「お問い合わせ/ご要望」またはコメントにて、ご連絡いただければ幸いでございます。
皆様の人生がより一層素晴らしいものになるよう、少しでもお役に立てれば幸いでございます。
なお、当サイトでは様々な情報を発信しております。もしよろしければ、トップページもご覧いただけると幸いでございます。
筆者の記事関連経験
- VBA使用経験約20年
実務に使用するマクロを多数作成してきました。 - Python 3 エンジニア認定基礎試験
経済産業省が定めたガイドライン「ITスキル標準(ITSS)」に掲載されている民間資格です。
VBAプログラミングスキルアップのための参考情報
ここでは参考図書を紹介いたしますが、これらに限らず自分に合うものを選ぶことが重要だと考えております。皆様の、より一層のご成功を心よりお祈りしております。
VBAプログラミングのスキルアップ
学習用としてもハンドブックとしても役立つ便利な書籍がこちらです。価格はやや高めですが、その内容は非常に充実しています。相応のスキルを身に付けるためには、こうしたしっかりとした書籍を一冊持っておくと良いでしょう。
入門書に関しては、どの書籍も大きな違いはありません。あまり迷うことに時間をかけるよりは、手頃なものを一冊選んでみると良いでしょう。VBAの入門書は数多く出版されていますので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。
甲乙つけがたい場合、私はインプレス社の「いちばんやさしい」シリーズを選ぶことが多いです。
\チェックしてみよう/
\チェックしてみよう/
\チェックしてみよう/
VBAのプログラミング能力を客観的に証明したい場合には「VBAエキスパート試験」があります。この試験はVBAの知識を公式に認定するものです。VBAの総合的な能力獲得を目指す方に適しています。以下の公式テキストが販売されております。
プログラミングの一般教養
「独学プログラマー」というプログラミングの魅力を解説した書籍があります。これはVBAではなくPythonを題材としていますが、プログラミングの基本的な知識や思考法、仕事の進め方まで幅広く学べます。
こちらの記事でも紹介しております。もしよろしければご覧ください。