【写真・カメラ・光学】美しい背景ボケのつくりかた【F値と背景ボケの関係】
いつもありがとうございます。
これは、写真・カメラ・光学設計に関する解説シリーズです。
スマホは手軽に高画質な写真が撮れるため、とても便利です。しかし、スマホのカメラでは物理法則上、撮影が難しいものがあります。それが背景ボケです。
美しい背景ボケは、神秘的で幻想的な効果を生み出し、言葉では表現しきれない感動を与えます。
スマホと異なり、デジタル一眼カメラではこの美しい背景ボケを撮影することができます。なぜでしょうか?そこには、物理法則に基づくルールがあります。
今回の記事では、F値と背景ボケの関係について解説し、美しい背景ボケの作り方をお伝えします。
筆者の記事関連経験
- 光学設計をしておりました。
ことばの意味
F値(Fナンバー)
光学系の明るさを表す数値です。小さいほど明るく、大きいほど暗くなります。
数式
F値 = 焦点距離/レンズの有効口径
明るさ絞り
光学系の中に配置される部品です。
明るさ絞りの内径を変えることにより、画像の明るさや被写界深度を調整することができます。
被写界深度
ピントの合っている範囲のことです。
被写界深度が深ければ前景から背景まで全体にピントが合います。
逆に被写界深度が浅ければ、ピンポイントでしかピントが合わず、その前後ではピントがボケます。
背景ボケ
被写体にピントを合わせた時に、被写体の背景がボケるとこです。
意図的に背景をボケさせることで、作品的で、美しい写真を撮ることができます。
スマホは背景がボケづらい
スマホの写真で、美しく背景がボケている写真は、あまり見たことがないのではないでしょうか。
スマホのカメラは、背景がボケにくい物理法則上の理由があります。
それが、焦点距離の短さです。
スマホのカメラは、デジタル一眼カメラに比べてかなり小さいため、焦点距離が短くなります。
焦点距離が短いと被写界深度は深くなり、前景から背景まで全体にピントが合ってしまいます。即ち、ボケにくくなるのです。
一方で、デジタル一眼カメラはスマホに比べてかなり大きく、焦点距離が長いため背景ボケがつくりやすいのです。
被写界深度と焦点距離の関係をまとめると、下表のようになります。
被写界深度 | 焦点距離 | 背景ボケ |
---|---|---|
深い | 短い | ボケにくい |
浅い | 長い | ボケやすい |
背景をボケさせるにはF値を小さくする
焦点距離が固定の場合、F値を小さく(=明るさ絞りの内径を大きく)すると背景がボケやすくなります。
光学系の諸要素と背景ボケの関係を下表に示します。
F値 | 明るさ絞り内径 | 被写界深度 | 背景ボケ |
---|---|---|---|
小さい | 大きい | 浅い | ボケやすい |
大きい | 小さい | 深い | ボケにくい |
実際にF値を変えて撮影した写真を示します。
レンズは 「M.ZUIKO DIGITAL ED12-40mm F2.8 」を使用し、F8.0 と F2.8で撮影しました。
F8.0の方は、奥の方までピントが合っています。
一方、F2.8の方は背景がやわらかくボケており、被写体が際立ちます。
良いレンズは光がまるく、やわらかくボケますね。とてもきれいです。
人の目で直接見てもこのようには見えません。写真でしか作り出せない神秘的で幻想的な世界です。
尚、スマホの場合は、仮にF値が小さくても背景がボケにくいです。焦点距離が短いためです。
もし、本記事に使用したレンズが気になる方は、こちらからチェックしてみてください。
おわりに
ご覧いただきありがとうございました。
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